この記事の話題はビデオ雲台付き三脚を使った千里川土手での動画構図の話です。
動画の構図が写真の構図と違うのは、動き、つまり時間の展開があることです。
この記事の概要
- アングル
- フィックス・パン・チルト
- 具体的な動画構図(難易度も含む)
同じ撮り方だけだと編集しても単調なものにしかなりません。
撮り方によって難易度が全く変わりますが、バリエーションを増やして組み合わせることで作品が個性的になっていきます。
それが僕が千里川土手の飛行機動画が楽しいと思うところです。
この記事を読んだ方が試してみたくなったり、別の撮り方を編み出されたらとても嬉しいです。
(※2018/3/14 追加)文字だけで表現しても仕方がないので、動画でしか成立しない構図を中心にした作品をアップしました。ご興味があればご覧ください。
アングル
カメラの高さには意味が有ります。意図をもって決めたいですね。
ハイアングル
- フェンスを超えて撮るならどうしても高くなる
- 人を避けて撮るのが困難な場合、人を活かすハイアングルで撮影すると奥行方向の状況が良く分かる構図になる
- 人の背丈を超える高さの三脚がほしいところ
- 機体からの照明で地面に落ちる影を撮る
ローアングル
- 飛行機が人の直上を通過する普通では無い環境を強調する
- 川や水たまりの水面のリフレクトを狙う
フィックス・パン・チルト
フィックス(固定)
- 背景は動かず、安定した構図(滑走路・正面の山・空)
- 離れた位置から広角で情景を撮る
- 滑走路の向きで飛行機の通り過ぎる影や、夜の着陸機が下に放つ光を使った表現が可能
パン(水平方向)
- そこに広がる情景を撮る(ターミナル~滑走路・正面の山~伊丹スカイパーク~スカイランドHARADA~クリーンランド)
- 飛行機を追いかける(超広角レンズなら水平パンのみでも可能)
チルト(垂直方向)
- 飛行機が離着陸するので・・・当然使います
- 中心付近で着陸機を真上から振り下ろして追いかける(夜に滑走路の光が機体に反射するところを撮る)
- ローアングルで撮影者から撮り始めて、通過する飛行機を追いかけて振り上げる
千里川土手での着陸シーンは、単純な操作で撮れる構図は少なく、ほとんどがパンとチルトが複合した動きになります。
編集時の音の繋がりの事を考えると、機体が画面から出た後もしばらく録画・録音し続ける事をお勧めします。
※僕は状況にもよりますが5秒程度続けています
具体的な動画構図
中央付近で離陸機を撮る(難易度☆☆☆☆★)
- W2へタキシングしてくる時から機体を追いかけ続ける構図
- 滑走路アップのフィックスで、画面右から機体が入ってくる構図
- 正面でフィックス(機体を追いかけて微妙なパンをするより、フィックスの方が安定して見える)
- 機体が上昇していくのを追いかけるもよし、そのままに画面外に出ていくのを見送るもよし
離れた位置から着陸機を追いかける(難易度☆☆☆★★)
- 機体重視なら遠くの時はアップで、近づいてきたら画角を広げ、通り過ぎたらタッチダウンをアップで撮る
- スピード感重視なら画角固定で撮る(急激に小さくなることでスピード感が出る)
- 接近中は機体の前方向に余裕を持たせ、遠ざかるにつれて後方向を開けていく
- 飛んでいる飛行機は常に人よりも上にいるので、基本的に画面の上の方に配置
- どアップで撮る場合、着陸時は機首を持ち上げているので、機首は画面の上に配置(上の写真を参照)
- 機首だけを追いかけ続けるのではなく、真横付近に来たら撮る範囲を後方にずらしていく(※Nao Nakagawaさん発案の”男撮り”という手法)
- 機体上方を流していくのもよし、獲物を狙う猛禽類のようなメインギアを狙うもよし
- ずらすペースが速いと尾翼のアップがある程度続き、次第に機体の全体が入る構図(レジが写るので、スポッティングには好都合)
- 尾翼のアップにならないようなゆっくりしたペースでずらすのはかなり難しい
- 機首の前方の余白を一定になるように追いかける構図は比較的容易です
- 画面に滑走路が入る高さになったら、背景となる滑走路を基準にして構図を安定させる
- タッチダウン後、パンしながらゆっくりとチルトを止めれば飛行機が遠ざかる表現になり、飛行機の画面内での位置が一定の高さになるような構図にすれば、飛行機を追いかける視点となります
至近距離で着陸機を追いかける(難易度★★★★★)
- 広角で撮ることをお勧めします(望遠で撮れないわけではないですが)
- 慣れないうちは着陸まで追いかけようとせず、真上で止めて通り過ぎる構図を撮ってみてください
- 至近距離で追いかけるには、とても速くて正確な操作が必要です
- 飛行機が通る場所をイメージして、練習で素振りする事をお勧めします
- 機体がはみ出しても、かまわず飛行機の音のする方向を撮り続ける
- どうしようもなく外したら、慌てずに滑走路にカメラを向ける(必ず滑走路に降りてくれます)
- 着陸機を追いかけて振り終えた先で、待機中の離陸機を入れるバリエーションもあります
- 慣れないと振り終えた先で上を向きすぎたり、下を向きすぎたりすると思いますが、慣れれば毎回一定の高さに止めれるようになります
着陸機を真上から振り下ろして撮る(難易度☆★★★★)
- 夜には機体に反射する緑や赤の灯火が流れていく姿が撮れます
- 西から横風が吹いているなら少し東にずれた位置から撮る
(※メインギアが滑走路の中心をまたぐように着地するので、着地前は機体後方が滑走路の中心線より風下側にずれた状態を維持して、滑走路に真っ直ぐ進入する) - 真上から振り下ろして撮る場合、猪名川土手側の滑走路中心に向けて雲台のパンを固定してください
- 通過するときに音がドップラー効果で変わりますから、それを頼りに振り下ろしてください
北側で「飛行機を撮る人達」を撮る(難易度☆☆★★★)
- 中央から10m位離れた下がって場所からローアングル
- 中央の降りたところから上方向
- 中央の橋の根元からローアングル
東の開けたポイント(難易度☆☆☆★★)
- 夕景(逆光)
- 林から飛び出してくるような飛行機
南側の中央付近(難易度☆☆☆★★)
- 橋と人と滑走路をフィックス(北側で撮っている人達の動きが面白い)
- 着陸誘導灯と着陸機
- 草原と着陸機
- 誘導灯の整備用の鉄門に向いて、着陸機が門の上から飛び出てくるアングル
南側の原田大橋側に離れた場所(難易度☆☆☆☆★)
- ほとんどの時間で順光で撮れるが、右側に茂みがあるので見通しが悪い(フィックス)
原田大橋の上(難易度☆☆☆☆★)
- 人々の直上を通り過ぎる飛行機(フィックス)
- 周辺の工場の上空に飛行機~道路~茂み~千里川土手で撮影する人々~滑走路(パン)
などなど・・・
これらはあくまで、僕が思い浮かぶ動画構図です。他にもいくらでも撮り方があると思います。
また、難易度は個人的な主観です。
ご参考になれば幸いです。